ここでは、自営業のエンジニアが自衛するために知っておくべきこと をシェアしたいと思います。残念ながら、こうした知識は誰も教えてくれないため、自分で気づき、学んでいくしかありません。
実際、案件を仲介する会社の多くは、必ずしも公平な契約書を提示してくれるわけではありません。そのため、まずは契約書をダウンロードし、ChatGPTなどのAIツールを使って内容を確認すること を強くおすすめします。
さらに注意すべきは、契約書を電子的にしか提示せず、閉じられた環境でサインを強要するケース です。このような場合、契約書を自分の手元に残せないため、非常に不利になります。業務用に与えられたPC上で電子契約を行ってしまうと、控えを保存できず、後で確認や交渉が困難になることもあります。
必ず自分のPC上で契約を行い、控えを保存すること。 これが自営業者として最低限の自衛策です。
「控えを渡せない契約にはサインしない」 を原則にしましょう。もし業務委託先が拒否するなら、その会社自体がリスクの高い相手と判断できます。
中間業者が入る契約で、エンジニアに不利になりがちな条項を俯瞰し、交渉時に即参照できる形で整理します。最初は個人で営業外注を前提とし、将来メンバーが増えた場合にも使い回せるドキュメント構造にしています。
| 区分 | 要注意ポイント | 望ましい状態 | 確認 |
| 知財 | 成果物の**著作権全面譲渡** | 利用許諾(非独占、利用範囲明確)に限定 | [ ] |
| 知財 | **契約外**(副業・私物リポジトリ等)まで権利包含 | 「本契約業務で創作した成果物」に限定 | [ ] |
| 副業/競業 | **広すぎる競業避止義務** | 顧客・機密情報の不正利用に限定 | [ ] |
| 副業/競業 | **副業禁止** | 本契約に支障がない範囲で副業可 | [ ] |
| 責任 | **無制限の損害賠償** | 上限=当該契約額(累計 or 直近◯ヶ月) | [ ] |
| 責任 | **間接損害(逸失利益等)も賠償対象** | 直接かつ通常の損害に限定 | [ ] |
| 更新/解除 | **一方的即時解除**(軽微な事由でも) | 重大な違反時+治癒期間付与 | [ ] |
| 労働拘束 | **時間/場所の固定・過剰な監督** | 独立性・裁量を確保(合意した報告頻度) | [ ] |
| 支払い | **支払サイト60日超** | 原則30日以内(検収基準明確化) | [ ] |
| 検収 | **検収・受領の定義が曖昧** | 「納品日から◯営業日以内に検収/支払」 | [ ] |
問題例(要修正):
納品物および関連する一切の著作権は、甲に無償で譲渡されるものとする。
解説: 再利用・ポートフォリオ掲載・派生開発の自由を失う可能性が高い。 望ましい修正案:
甲は本件成果物について、契約目的の範囲で非独占的に利用できるものとする。著作権は乙に留保される。
問題例(要修正):
期間中に乙が創作した一切の成果は甲に帰属する。
望ましい修正案:
権利帰属の対象は「本契約に基づく業務の遂行により創作された成果物」に限定する。
問題例(要修正):
乙は契約期間中および終了後2年間、甲の事業と競合する一切の業務に従事しない。
望ましい修正案:
乙は顧客情報・機密情報を不正に用いて甲と競合する行為を行わない。期間・地域は必要最小限に限定する。
問題例(要修正):
乙は期間中、甲の事前承諾なく一切の副業を行ってはならない。
望ましい修正案:
本契約の履行に支障がない範囲で副業可。機密保持義務は遵守する。
問題例(要修正):
乙は甲に生じた一切の損害を賠償する。
望ましい修正案:
乙の賠償責任は、当該契約に基づき乙が受領した対価総額(または直近◯ヶ月分)を上限とし、間接・特別・逸失利益は除外する。
問題例(要修正):
乙は逸失利益を含む全損害を賠償する。
望ましい修正案:
賠償対象は直接かつ通常生ずべき損害に限定する。
問題例(要修正):
甲は任意に本契約を即時解除できる。
望ましい修正案:
重大な契約違反があり、相当期間内に是正されない場合に限り解除できる。
問題例(要修正):
契約終了時に違約金を支払うものとする(理由不問)。
望ましい修正案:
通常終了に伴う違約金は発生しない。損害がある場合は前項に従う。
問題例(要修正):
乙は平日9-18時に甲所定の場所で業務を行う。
望ましい修正案:
成果/稼働ベースで協議のうえ柔軟に対応。必要な打合せ以外は場所・時間は乙の裁量とする。
問題例(要修正):
乙は日々の細目報告と逐一の指示承認を受ける。
望ましい修正案:
週次/隔週など合意した頻度で進捗共有を行う。
問題例(要修正):
検収後、翌々々月末日払い(約90日)。
望ましい修正案:
検収完了後30日以内に支払う。
問題例(要修正):
検収日は甲が任意に定める。
望ましい修正案:
「納品受領日から◯営業日以内に合否通知。合否通知なき場合は翌営業日に自動検収」等を明記。
本件成果物の著作権は乙に留保するものとし、甲は契約目的の範囲で非独占的に利用できるものとする。
権利帰属の対象は、本契約に基づく業務の遂行により創作された成果物に限定する。
乙は機密情報の不正利用を行わない。これに反しない限り、本契約に支障のない範囲で副業を行うことができる。
乙の賠償責任の上限は当該契約額とし、間接・特別・逸失利益は除外する。
重大な違反があり、相当期間内に是正されない場合に限り解除できる。
検収完了後30日以内に支払う。納品受領日から◯営業日以内に合否通知がない場合、翌営業日に自動検収とする。
contracts/ ├─ YYYYMMDD_clientA/ │ ├─ draft.pdf │ ├─ redlines.pdf │ └─ final_signed.pdf └─ README.md(交渉経緯メモ)
本記事は個人の経験に基づく一般的な整理であり、法的助言ではありません。重要な契約判断は、弁護士・社労士など適切な専門家にご相談ください。