目次

 \#contents

契約書で避けたい条項リスト(エンジニア視点)

\*\* この記事の目的 中間業者が入る契約で、エンジニアに不利になりがちな条項を俯瞰し、交渉時に即参照できる形で整理します。最初は個人で営業外注を前提とし、将来メンバーが増えた場合にも使い回せるドキュメント構造にしています。

\*\* 前提と使い方

本ページは「チェックリスト」と「修正文テンプレ」をセットで掲載。

契約ごとにチェックを入れ、該当する箇所はテンプレで修正提案。

法的助言ではありません。重要事項は専門家に確認してください。

\*\* 用語の簡易定義

SES(準委任): 一定期間、業務遂行を約する契約(成果保証は原則しない)。

受託(請負・成果物): 合意した成果物の完成・検収を条件に報酬が発生。

直接損害 / 間接損害: 直接損害は通常予見可能な損害。逸失利益などは間接損害に含まれることが多い。

\*\* チェックリスト(ひと目で確認)

区分要注意ポイント望ましい状態確認
知財成果物の**著作権全面譲渡**利用許諾(非独占、利用範囲明確)に限定\[ ]
知財**契約外**(副業・私物リポジトリ等)まで権利包含「本契約業務で創作した成果物」に限定\[ ]
副業/競業**広すぎる競業避止義務**顧客・機密情報の不正利用に限定\[ ]
副業/競業**副業禁止**本契約に支障がない範囲で副業可\[ ]
責任**無制限の損害賠償**上限=当該契約額(累計 or 直近◯ヶ月)\[ ]
責任**間接損害(逸失利益等)も賠償対象**直接かつ通常の損害に限定\[ ]
更新/解除**一方的即時解除**(軽微な事由でも)重大な違反時+治癒期間付与\[ ]
労働拘束**時間/場所の固定・過剰な監督**独立性・裁量を確保(合意した報告頻度)\[ ]
支払い**支払サイト60日超**原則30日以内(検収基準明確化)\[ ]
検収**検収・受領の定義が曖昧**「納品日から◯営業日以内に検収/支払」\[ ]

\*\* 1. 知的財産・著作権 \*\*\* 1-1. 全面譲渡条項 問題例(要修正): 納品物および関連する一切の著作権は、甲に無償で譲渡されるものとする。 解説: 再利用・ポートフォリオ掲載・派生開発の自由を失う可能性が高い。 望ましい修正案: 甲は本件成果物について、契約目的の範囲で非独占的に利用できるものとする。著作権は乙に留保される。

\*\*\* 1-2. 範囲過大条項(副業・私物まで包含) 問題例(要修正): 期間中に乙が創作した一切の成果は甲に帰属する。 望ましい修正案: 権利帰属の対象は「本契約に基づく業務の遂行により創作された成果物」に限定する。

\*\* 2. 副業・競業禁止 \*\*\* 2-1. 広すぎる競業避止 問題例(要修正): 乙は契約期間中および終了後2年間、甲の事業と競合する一切の業務に従事しない。 望ましい修正案: 乙は顧客情報・機密情報を不正に用いて甲と競合する行為を行わない。期間・地域は必要最小限に限定する。

\*\*\* 2-2. 副業禁止 問題例(要修正): 乙は期間中、甲の事前承諾なく一切の副業を行ってはならない。 望ましい修正案: 本契約の履行に支障がない範囲で副業可。機密保持義務は遵守する。

\*\* 3. 損害賠償責任 \*\*\* 3-1. 無制限賠償 問題例(要修正): 乙は甲に生じた一切の損害を賠償する。 望ましい修正案: 乙の賠償責任は、当該契約に基づき乙が受領した対価総額(または直近◯ヶ月分)を上限とし、間接・特別・逸失利益は除外する。

\*\*\* 3-2. 間接損害の包含 問題例(要修正): 乙は逸失利益を含む全損害を賠償する。 望ましい修正案: 賠償対象は直接かつ通常生ずべき損害に限定する。

\*\* 4. 契約更新・解除 \*\*\* 4-1. 一方的即時解除 問題例(要修正): 甲は任意に本契約を即時解除できる。 望ましい修正案: 重大な契約違反があり、相当期間内に是正されない場合に限り解除できる。

\*\*\* 4-2. 終了時ペナルティ 問題例(要修正): 契約終了時に違約金を支払うものとする(理由不問)。 望ましい修正案: 通常終了に伴う違約金は発生しない。損害がある場合は前項に従う。

\*\* 5. 労働に近い拘束 \*\*\* 5-1. 固定時間・場所の拘束 問題例(要修正): 乙は平日9-18時に甲所定の場所で業務を行う。 望ましい修正案: 成果/稼働ベースで協議のうえ柔軟に対応。必要な打合せ以外は場所・時間は乙の裁量とする。

\*\*\* 5-2. 過剰な監督義務 問題例(要修正): 乙は日々の細目報告と逐一の指示承認を受ける。 望ましい修正案: 週次/隔週など合意した頻度で進捗共有を行う。

\*\* 6. 支払い条件 \*\*\* 6-1. 長すぎる支払いサイト 問題例(要修正): 検収後、翌々々月末日払い(約90日)。 望ましい修正案: 検収完了後30日以内に支払う。

\*\*\* 6-2. 検収基準の曖昧さ 問題例(要修正): 検収日は甲が任意に定める。 望ましい修正案: 「納品受領日から◯営業日以内に合否通知。合否通知なき場合は翌営業日に自動検収」等を明記。

\*\* 修正文テンプレ(そのまま提案可)

著作権の留保:

 本件成果物の著作権は乙に留保するものとし、甲は契約目的の範囲で非独占的に利用できるものとする。

権利帰属の範囲限定:

 権利帰属の対象は、本契約に基づく業務の遂行により創作された成果物に限定する。

競業・副業:

 乙は機密情報の不正利用を行わない。これに反しない限り、本契約に支障のない範囲で副業を行うことができる。

賠償責任の上限・除外:

 乙の賠償責任の上限は当該契約額とし、間接・特別・逸失利益は除外する。

解除要件:

 重大な違反があり、相当期間内に是正されない場合に限り解除できる。

支払い・検収:

 検収完了後30日以内に支払う。納品受領日から◯営業日以内に合否通知がない場合、翌営業日に自動検収とする。

\*\* 交渉の進め方メモ(実務)

まずは**代替案を提示**(上記テンプレを引用)。

妥協点は「利用範囲の限定」「責任上限の金額」「報告頻度」など定量化。

重要条項は**メール/議事録**で合意文言を残す。

最終版PDFは**ハッシュ値**を控え、保存場所(GitHub? Privateなど)を一元管理。

\*\* 参考運用(個人→小集団化を見据えて)

GitHub?のPrivateリポに「contracts/」フォルダを作り、案件ごとに下記構成で保存:

 contracts/
 ├─ YYYYMMDD\_clientA/
 │   ├─ draft.pdf
 │   ├─ redlines.pdf
 │   └─ final\_signed.pdf
 └─ README.md(交渉経緯メモ)

Issueテンプレで「チェックリスト」を埋める運用にすると抜け漏れが減る。

\*\* 免責 本記事は個人の経験に基づく一般的な整理であり、法的助言ではありません。重要な契約判断は、弁護士・社労士など適切な専門家にご相談ください。

トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS