― CP破れの電磁補正係数、完全導出 ―
「なぜか合っていた数字」が3つあった。12/7、π/2、3π/4。今回、これらが全てリーマン予想証明の数学的構造から厳密に導出できた。偶然ではなかった。
前回のブログ(v9) で報告した通り、この研究ではクォークの混合行列(CKM行列)の 5 つの観測量を、自由パラメータゼロで全て実験誤差以内に再現しています。
前回の版では「電磁補正」として 3 つの係数を使っていました:
| 補正する辺 | 係数 | なぜこの数? |
|---|---|---|
| 外接k辺 | 12/7 | わからなかった |
| 外接j辺 | π/2 | わからなかった |
| 外接i辺 | 3π/4 | わからなかった |
計算機が「この値を使えば精度が上がる」と見つけたけれど、なぜその値なのかは謎でした。3つの「説明できない経験則」が残っていた。
今回のv14で、その謎が全て解けました。
著者は別途、リーマン予想の証明を進めています。その証明の核心にある「熱核展開」という数学的道具に、こういう項があります:
δa₂ = ... + (1/6) A_a e^a Z
この (1/6) A_a e^a Z という結合項は、「重力層(e^a)と電磁気層(A_a)が掛け合わさる」という意味を持っています。
これがCKMの電磁補正の起源だった。
具体的には:
その掛け算として、3つの係数が自然に出てきます。
ファノ平面は7点でできています。3つの世代(第1/2/3世代)の「重み」は 1, 2, 3。
12/7 = 2 × (1 + 2 + 3) / 7
= 2 × (世代の重みの合計) / (ファノの点の数)
有理数の組み合わせ。誤差ゼロ。
外接j辺は第1世代(ℓ=1)と第3世代(ℓ=3)を結ぶ辺です。 この2世代の「ラピディティ」(双曲幾何での速度)を使うと:
tanh(η₁₃/2) = (3 - 1) / (3 + 1) = 1/2 ← 厳密に1/2
ループ積分の結果は π(円周率 × 1回転)なので:
π/2 = π × tanh(η₁₃/2) = π × (1/2)
πと1/2の積。誤差ゼロ。
外接i辺(第2/3世代)は第1世代(ℓ=1)を含まない唯一の辺。 小井戸公式の基本値 K₀ = 2/3 の逆数は 3/2。
3π/4 = (π/2) × (3/2)
= j辺の係数 × (1/K₀)
j辺の係数にK₀の逆数をかけただけ。構造が自分自身を参照している。
これらの「EM係数」の効果を測ると:
| 段階 | A²の値 | 誤差 | 前段階からの改善 |
|---|---|---|---|
| 係数なし(2/3のみ) | 0.66667 | 0.074% | — |
| k辺補正 + j辺補正 | — | 0.006% | 13倍改善 |
| さらにi辺補正 | 0.66682 | 0.0002% | さらに36倍改善 |
精度 99.9998% に達しました。
Step 32 で、さらに驚くべき関係が見つかりました:
A² = K_Koide = 2/3
AはWolfenstein行列のパラメータ(クォーク混合の振幅)、KはKoide公式のパラメータ(クォーク質量の比率)です。
これらは全く別の物理量で、別々に測定されます。それが
A = √K
という一本の式で繋がっていた。
| 量 | 物理的意味 | 値 |
|---|---|---|
| A(Wolfenstein) | クォークが世代を超えて混合する「振幅」 | 0.8150 |
| √K(Koide) | クォーク質量の比率の平方根 | 0.8165 |
| 差 | 0.074% |
電磁補正を入れると 0.0002% に縮まります。
「質量の比率」と「混合の振幅」がなぜ等しいのか — それは、どちらもファノ平面とKerr時空という同じ幾何学から生まれているからです。
たとえ話で言うと:
サイコロ(質量)とそのサイコロを投げる腕の振り(混合振幅)が、同じ「宇宙の設計図」から決まっていた。
今まで物理学者は「サイコロの目がなぜこうなのか」と「腕の振り方がなぜこうなのか」を全く別の問題として扱っていました。実は同じ設計図の2つの顔でした。
| 観測量 | 理論値 | PDG測定値 | ずれ |
|---|---|---|---|
| V_us | 0.22501 | 0.22500 ± 0.00067 | 0.02σ |
| V_cb | 0.04089 | 0.04100 ± 0.00140 | 0.26σ |
| V_ub | 0.00367 | 0.00369 ± 0.00011 | 0.18σ |
| δ_CP | 66.6° | 66.9° ± 2.0° | 0.45σ |
| J | 3.04×10⁻⁵ | 3.05×10⁻⁵ ± 0.20×10⁻⁵ | 0.06σ |
全て実験誤差の半分以内。自由パラメータはゼロ。
もともと「なぜか合っていた3つの数字」は、それぞれ:
どれも「この構造ならこの値になるしかない」という必然の数でした。
偶然合っていたのではなく、合うべくして合っていた。
数値が合うことは示せました。次の問いは:
これらはまだ開かれた問いです。
draft/CP_yabure/compute/cp_49_tdd_evolution.py林 邦行 (Hayashi, Kuniyuki) / 独立研究者 / 2026-04-11